グループ紹介

上部消化管グループ

対象疾患

食道癌、胃癌、食道良性腫瘍、胃良性腫瘍、十二指腸良性腫瘍、食道裂孔ヘルニア、胃・十二指腸潰瘍など

 

手術症例数

現在、準備中です。

 

上部消化管グループの概要

上部消化管グループは主に食道・胃・十二指腸に発生する疾患を対象に診断、治療を行っています。悪性腫瘍に対する内視鏡外科手術(胸腔鏡下手術、腹腔鏡下手術)を早期より導入しています。特に食道癌手術は、頚部・胸部・腹部に渡る手術となり、侵襲が非常に高い手術となりますが、内視鏡外科手術により、小さな創で、患者さんの体に負担が少ない手術を行うことができます。
また、最近では治療成績の向上を目指し、ロボット支援下手術(da Vinci手術)を全国に先駆けて導入しています。消化器領域のロボット支援下手術は国立大学ではもっとも早く導入しました。現在は保険診療となっていますが、先進医療となる前から導入しており、当科の治療成績が保険診療となる一助となっています。

 

上部消化管グループの疾患

食道癌

食道癌の治療には内視鏡的治療、外科的切除、放射線療法、化学療法、化学放射線療法があります。癌の進行度と患者さんの全身状態を正確に評価し、最適と思われる治療法を選択しています。
食道が頚部、胸部、腹部にわたる長い管腔状の臓器のため、多くの場合外科治療は、頚部、胸部、腹部の3領域にわたる大きな創が必要で、患者さんの体に対する負担が非常に大きいものでありました。また胸部食道は、縦隔と呼ばれる心臓、気管、大動脈などの重要臓器の密集している場所をすり抜けるようにありますので、手術の難易度も高く、手術に関連する合併症率、死亡率もほかの癌よりも高いと従来言われておりました。しかし、平成21年4月より当科では、胸腔鏡、腹腔鏡を用いた食道癌手術を導入し、患者さんの体に対する負担軽減を図っております。特に当科の鏡視下食道切除術は、腹臥位(うつ伏せ)での手術を特徴としております。
従来、食道切除術は左側臥位で行われていましたが、Palaniveluらが2006年にJournal of the American Colleage of Surgeonsに130人の患者さんに腹臥位食道切除術を行った成績を報告しました。その後、わが国でも当科の能城浩和教授が53人の患者さんに対して腹臥位食道切除術を行い、その良好な成績を2010年にSurgical Endoscopyに報告しました。現在、その手術の良好な視野と緻密なリンパ節郭清が注目され、全国的に広がりを見せています。
一方、癌が粘膜層に留まるような早期食道癌に対しては、消化器内科と連携して低侵襲かつ機能温存がえられる内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行っております。また放射線化学療法については、放射線科と連携して治療を行っております。特にStageIの食道表在癌の患者さんには、JCOG9708(PhaseII)の臨床試験の結果をふまえて、外科的治療と放射線化学療法の両方のメリット、デメリットを十分にお話しして治療を選択いただいていますし、StageIV, T4食道癌の患者さんに対しては、根治的放射線化学療法を行っています。さらに高度リンパ節転移を認めるStageII, IIIの進行食道癌および軽度T4が疑われる進行食道癌に対してはJCOG9907をふまえて術前化学療法あるいは術前化学療法に放射線治療を付加する治療を行ったあと手術を行っています。このようにエビデンスに基づいた治療を基本とし、それに加え新規抗癌剤などの新しい治療を積極的に取り入れ、患者さんのそれぞれの全身状態や癌の進行度に応じて最良の治療を選択するよう心がけております。

 

胃癌

胃癌に対する治療は鏡視下手術の技術の向上、抗癌剤治療の向上に伴い、大きく変化しつつありますが、胃癌の治療においても、癌の進行度と患者さんの全身状態を正確に評価し、最適と思われる治療法を選択しています。当科の特徴として腹腔鏡下手術の適応範囲が広く、ほぼ全例を腹腔鏡下手術で行っていることがあげられます。平成21年度は、外科的治療の適応となる患者さんに全例腹腔鏡手術を行いました。現在、日本胃癌学会が出している胃癌治療ガイドライン上では、腹腔鏡下手術は早期胃癌に対する研究的治療として位置づけられていますが、当科では腹腔鏡下手術の利点である低侵襲性だけでなく、拡大視効果に基づく微細解剖の認識により、従来の開腹手術を凌駕する質の高いリンパ節郭清を行い、癌の根治性を十分に担保した低侵襲手術を提供しております。
分化型腺癌で深達度が粘膜層に限局する早期癌では、内視鏡的治療である内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜剥離術(ESD)を消化器内科と緊密に連携して行っております。一方で、内視鏡治療の適応外となる早期癌や進行胃癌に対しては積極的に腹腔鏡下手術を行っています。幽門側胃切除術、噴門側胃切除術、胃全摘術は日常的に提供している術式ですが、高度リンパ節転移のある上部進行胃癌に対しては、胃全摘術に脾臓摘出術を付加することも行っていますし、膵臓への浸潤が認められる進行胃癌に対しては、膵体尾部切除術を付加したり、癌の根治性を十分検討した上で必要と判断した際には、膵頭十二指腸切除術まで腹腔鏡下に行う場合もあります。また、高度食道浸潤のある胃癌の患者さんや食道胃接合部癌の患者さんに対しては、腹臥位での胸腔鏡下手術の操作を加えることで良好な視野のもと十分なリンパ節郭清と安全な消化管吻合を行っております。さらに、上記の術式はいずれも完全鏡視下で行っております。そうすることで、切離・吻合を腹腔内で行い、小開腹創が不要となるため、さらに低侵襲性が向上し、美容的にも優れていると考えています。
しかし、胃癌治療において外科的治療単独では治療に限界があるのも事実です。当科では、進行胃癌の治療成績向上を目指して、術前化学療法や術後化学療法も積極的に行っております。なお、術前化学療法を行った後の手術も腹腔鏡で行っております。今後、化学療法や分子標的治療のさらなる進歩に伴い、従来根治不能と考えられた高度進行胃癌症例に根治が望めるようになることが期待されます。

 

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