グループ紹介

下部消化管グループ

対象疾患

大腸腫瘍性疾患(結腸がん、直腸がん、GIST、家族性大腸腺腫症など)、大腸良性疾患(大腸憩室炎、大腸腺腫、虫垂炎など)、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、小腸疾患(腸重積、小腸腫瘍など)、肛門疾患(痔核、痔瘻など)

 

手術症例数

※横にスクロールして、確認できます。

  2013 2014 2015 2016 2017
結腸良性疾患(虫垂炎む) 27 26 17 37 34
結腸悪性腫瘍 90 68 67 63 88
直腸良性疾患 9 3 6 2 3
直腸悪性腫瘍 36 37 54 46 45
小腸疾患 13 11 32 30 12
肛門疾患 4 1 7 9 8
合計 179 146 183 187 190

 

下部消化管グループの疾患

大腸がん

大腸がんは日本人の生活習慣の欧米化や高齢化に伴い増加しており、2013年には大腸がんと診断された方はがん全体の2番目であり(男性3位、女性2位)、大腸癌による死亡数はがん全体の2番目でした(男性3位、女性1位)。
大腸がんの治療法には、手術治療、内視鏡的治療、抗がん剤による化学療法、放射線療法があり、ガイドラインを参考にがんの進行度(ステージ)に応じた治療法が選択されます。大腸がんと診断された際には、まずステージを決めるための検査を受けて、正しい情報を基に最もふさわしい治療法を選ぶことが大切です。その中で手術治療はがん細胞を完全に取り除くことができるため、治療効果が最も期待できる治療法です。当グループでは、大腸がんに対する手術治療のほとんどを患者さんの身体への負担の少ない腹腔鏡手術により行っています(図1)。

 

腹腔鏡手術率

【図1】腹腔鏡手術率

 

腹腔鏡手術は術後の疼痛が少なく腸管蠕動の回復が早いことが特徴で、通常翌日には歩行や飲水は可能となり、2日目には食事摂取が開始され、7日目には退院可能となります。大腸がんの手術成績である術後合併症率(結腸がん:創感染1.3%、縫合不全0%、直腸がん:創感染2.2%、縫合不全4.3%、2017年)ならびに患者さんの術後再発率と全生存率は、全国平均と比べ遜色のないもので、積極的に最新の手技・工夫を導入し、安全で確実な手術を心がけています。
また、直腸がんの手術治療においては2018年度より手術支援ロボットda Vinciを用いた腹腔鏡手術が保険適応となりました。当グループでは2011年より直腸がん手術にロボット支援下手術を導入し、2017年までに約40例のロボット支援下直腸がん手術を行ってきました(図2-4)。ロボット支援下手術はロボット特有の緻密な手技により精度の高い直腸癌手術が出来るだけでなく、確実な自律神経温存による術後排尿機能、性機能の温存にも有用な可能性があります。2018年度以降、ロボット支援下直腸がん手術症例数は飛躍的に増加することが予想されます。

 

手術支援ロボットda Vinci

【図2】手術支援ロボットda Vinci

ロボット支援下直腸がん手術(術者)

【図3】ロボット支援下直腸がん手術(術者)

ロボット支援下直腸がん手術(助手)

【図4】ロボット支援下直腸がん手術(助手)

 

自然肛門の温存が問題となる下部直腸がんに対しては、低位前方切除やISR(肛門括約筋間切除)などの術式により、可能な限り自然肛門の温存に努めています(図5,6)。腫瘍の大きさや局在にもよりますが、術前抗がん剤治療や放射線治療により腫瘍の縮小を図り、さらに経肛門的な手術法を組み合わせることにより、確実な切除と高い肛門温存率が期待できます。また、進行下部直腸がんでは、側方リンパ節郭清を腹腔鏡もしくはロボット支援下手術で行い、局所での再発の減少に努めています。

 

経肛門的直腸がん手術

【図5】経肛門的直腸がん手術

経肛門的直腸がん手術

【図6】経肛門的直腸がん手術

 

術後は、リンパ節へ転移があるステージ3と再発のリスクの高いステージ2(漿膜浸潤例、脈管浸潤陽性例など)の患者さんには、抗がん剤による補助化学療法を施行して、がんの再発予防に努めています。大腸がんの肝臓や肺への転移のあるステージ4やがんの再発に対しても、腫瘍内科と協力して抗がん剤による化学療法と組み合わせながら、可能な限り根治しうる切除を目指しております。切除が難しいとされたステージ4であっても、化学療法の効果により切除が可能となる場合もあります。切除のできない大腸がんの患者さんに対しては腫瘍内科と協力して全身化学療法・分子標的治療による生存期間の延長に努めています。

 

 

炎症性腸疾患

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は大腸粘膜の表面にびらんや潰瘍を形成する原因不明の炎症性の疾患で、全国的に増加しております。主な治療は薬による内科的治療ですが、薬の効果が乏しい重症の場合、穿孔、大量出血、大腸がんの発生などの合併症が起きた場合、副作用や社会的理由で薬による治療を続けられなくなった場合には、手術が必要になります。手術では、大腸を全て取り除き(大腸全摘)、大腸の代わりに小腸を折りたたんで便を貯める袋(回腸嚢)を作って肛門とつなげる手術が基本となります。潰瘍性大腸炎は若年の患者さんが多く、傷が小さく癒着の少ない腹腔鏡手術はメリットが大きいと考え、積極的に行っております。待機的な手術では、一時的な人工肛門を作り、術後数ヶ月で人工肛門を閉鎖する2期分割手術が多いですが、状態に応じて人工肛門を造設しない1期手術も検討しております。また、緊急例などの状態の悪い方に対しては手術の安全を確保するために切除、再建、人工肛門閉鎖を3回に分けて行っています(図7)。

 

潰瘍性大腸炎の手術計画

【図7】潰瘍性大腸炎の手術計画

 

クローン病

クローン病は、原因不明の炎症性腸疾患で小腸や大腸の粘膜に炎症を起こし、潰瘍やびらんを形成する疾患です。クローン病の治療は、栄養療法や各種の薬物療法などの内科治療が主体となりますが、腸管の狭窄や腸閉塞、穿孔、皮膚や膀胱との瘻孔形成などの合併症で日常生活に支障が出る場合には外科治療が必要となります。当科では、若年者が多く再手術のリスクの高いクローン病に対して、傷が小さく癒着が少ない腹腔鏡手術を第一選択としています(図8)。また小腸病変に対しては可能な限り腸管切除を避け小腸を温存する手術を行い、吸収障害をきたす短腸症候群を来さないよう努力しています。クローン病は慢性的な疾患ですので、手術後も内科治療の継続が必要です。 これら炎症性腸疾患に関しては、消化管内科と密接な連携を行い手術適応に関して十分に議論をしたうえで、最適な治療法を選択しています。

 

クローン病に対する単孔式腹腔鏡手術

【図8】クローン病に対する単孔式腹腔鏡手術

 

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