開業された先生からのメッセージ

中村 宏彰

中村 宏彰Hiroaki NAKAMURA

出身:佐賀県
2011年 佐賀大学医学部卒業
2013年 入局

佐賀県鹿島市で診療所勤務をしております中村宏彰と申します。父が鹿島の地に開業して私で2代目になります。

 

私が入局先を決定するにあたり重要視したことは2点あります。
まず一つ目は将来的に診療所を継承した際に「何かあったらかかりつけへ」の考えを持った患者さんに対応できる幅広い能力を養えることです。実際に診療所勤務を始めてから、高血圧症や糖尿病といった生活習慣病はもちろんのこと、腰痛や関節痛、縫合処置を要する外傷、小児、など専門領域に限らず様々な疾患への対応が求められています。昨今の働き方改革の観点からの良し悪しは別として、外科は「主治医」の意識がとても高い診療科であり、多様な基礎疾患を有する患者の周術期管理や、術後かかりつけの患者であれば例え肺炎や尿路感染症であっても主治医として外科医が診療にあたる機会が多かったことなどから、ある程度の幅広い知識の下地作りはできたように感じます。

 

二つ目は何か得意とする武器を持てることです。全身を診られるジェネラリストが町医者にとって理想的なのでしょうが、その中でも何かしらの高い専門性を持ったスキルを身につけたいと考えました。学生時代に病棟実習で外科の先生方が手術室に入ると一段と輝いて格好良く見えたことや、何の根拠もなしに自分ならもっと上手に手術ができる自信があったこと(もちろん後ほど自意識過剰を痛感することにはなりますが)から、外科医いいなぁと考えるようになり、研修医で他科をローテートしてもその気持ちは変わりませんでした。QOLのことを全く考えなかったわけではありませんが、将来的に診療所を継承すると決めていたからこそ、せめて限られた時間は多忙であっても自分の好きなことに挑戦する気持ちを後押ししてくれたような気がします。

中村 宏彰

父と中村医院にて

入局後は各関連施設で手術の修練を行い、13年間での手術件数は約2200件、うち術者約930件と数多くの手術に従事させていただきました。また診療所を継承する直前の2年間は医局と相談のうえ内視鏡トレーニングができる病院に派遣いただき、上部消化管内視鏡検査1000件以上、大腸内視鏡検査300件以上の実績を得て、上部消化管・大腸内視鏡スクリーニング認定医という資格も取ることができました。ゆくゆくは診療所に内視鏡設備を導入できればと考えています。その他、外科専門医、消化器外科専門医、消化器病専門医、など主要な専門医の資格も取得しております。将来的に診療所を継承することを師事した先生方もご存知でしたが、それでも分け隔てなく熱心にご指導いただいた結果だと深く感謝しております。

この記事を読んでいただいている方の中には、私と同じような境遇で実家の病院や診療所を継承することを前提に入局する診療科に迷っておられる方もいると思います。掲げている看板が違っていても外科に少しでも興味があれば、まずは一度医局の先生方と話してみてください。いろんな特色のある関連病院の中からあなたの将来設計にあった働き方、外科医としてのやりがいや正直きついこと、などなんでも話してくれると思います。情報が溢れすぎているこの世の中で耳触りの良い情報だけを鵜呑みにせず、まずは生の声を聞いてみて、本当に自分がやりたいことは何なのかを考えていただけたら幸いです。

中村 宏彰

関連病院での手術風景(2021年、織田病院にて)

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