山田 浩平

山田浩平
名前 山田 浩平
卒業年 2010年
留学先 米国、マサチューセッツ州、ボストン
ハーバード大学医学部, Brigham and Women’s Hospital
留学期間 2023年04月〜現在 (2024年07月)

 

私の留学先であるBrigham and Women’s Hospitalはボストンの中でもmedical areaと呼ばれる場所に位置しており、ハーバード大学医学部、ダナファーバー癌研究所、ベスイスラエル医療センターなどの世界でも有数の研究施設、病院が立ち並ぶ一角にあります。

 

私のラボは心肺停止や敗血症など集中治療疾患における免疫応答機構を大きな研究テーマの一つとしています。これまで消化器外科医として手術や癌研究に向き合ってきた自分としては、当初、戸惑いもありましたが、渡米から1年が経過し、心肺停止モデルマウスを使った実験やヒト免疫細胞を使った刺激実験、それらを解析するためのフローサイトメトリーなど、免疫研究を進める上で必要な手技、解析方法を習得し、現在これらの実験を鋭意進める日々です。救急集中治療疾患を研究テーマとしていますが、病態の根底にある免疫応答機構は、免疫チェックポイントを始め、癌治療において現在最も注目される分野の一つです。これら免疫学研究の知識、経験を将来の消化器癌研究に応用できるよう、習得することが自分の使命と考えています。

ボストンを流れるチャールズ川の風景

 

私のボスであるEdy Kim博士は臨床医かつ研究者でもある、いわゆるPhysician-Scientistで、割合としては8割が研究、2割が臨床といった、日本では考えられないようなスタイルで勤務しています。多忙なボスではありますが、基本的に週1回の個人ミーテイングに加え、研究計画の確認や実験結果の報告など、その都度メールで意見交換することができ、研究を効率よくスピーディーに進めることができます。

 

一方で、ボスも含めラボメンバーの論文を読む速さについていけないことも多々あり、自分の英語力や知識の無さに絶望することもしばしばあります。また、毎月1回程度、研究室メンバーの前で実験の進捗状況や自身の研究テーマについて、30分程度のプレゼンテーションが義務づけられており、当初と比べれば慣れてきたものの、未だプレゼンテーション前は胃が痛くなるほどの緊張感に苛まれます。英語力を鍛えるべく、native speakerと積極的にコミュニケーションをとるようにはしていますが、readingは何とかなってもspeakingとlisteningはまだまだ理想と程遠いのが現実です。

 

研究室にはアメリカ人だけではなく、世界中の国々から、研究者が集まっており、研究室内では英語以外にもフランス語、スペイン語、ポルトガル語、韓国語など様々な言語が日々飛び交っています。世界中の研究者がアメリカに留学し、研究者や医師として大成しようとする姿に、私も大いに刺激を受けており、お金には替えられない、このような経験ができることも留学の醍醐味だと思います。また、道行く人々の会話も英語だけではなく、スペイン語や中国語など様々です。アメリカで生活をする中で、様々な国の文化、社会、そして医療システムの違いを目の当たりにし、改めて、日本という国の豊かさや素晴らしさを心から実感できた気がします。

 

医師として現在、様々なキャリアがあり、そのキャリアに正解はないと思いますが、医師、研究者としてだけではなく、一人の人間として、海外留学は唯一無二の経験になると思います。

ボストン・レッドソックスの本拠地のフェンウェイ・パーク

 

ページTOP