若手外科医からのメッセージ

由比 元顕

由比 元顕Motoaki YUHI

出身:福岡県
2021年 佐賀大学 医学部卒業
2023年 入局

佐賀には大学から来ましたが、こちらでの生活が身になじんできたこともあり、卒業後も本大学で研修を続けて今に至ります。

 

消化器外科を選んだ理由は、勧誘されたからという一言に尽きます。当時の医局長に実習生時より目をかけていただき、促されるままに消化器外科でのスーパーローテートを行い、その後の粘り強い勧誘に根負けしました。最初から志を持って外科医になったわけではない自分も外科医2年目に入り、先生方の手をより一層焼かせながらなんとかまだ立っております。

由比 元顕

これからはロボット手術のトレーニングも頑張ります

「外科医」には誰しも大なり小なりイメージがあるかと思います。臆病な自分もそのイメージに囚われ、やりがいや憧れと同時に、「自分にはとても務まらない」という不安を感じていました。恥ずかしながら今もその不安は消えず、「ギリギリ耐えられた…」と思うばかりの日々です。しかし、決してそれだけではありません。傷を縫って感謝していただいたこと。自分が執刀した患者さんが退院後も挨拶にきてくださること。初めて鉗子操作を誉められたこと。どれも不安に目を曇らせたあの頃には見えなかった景色です。

 

大学病院では併存疾患のある患者さんや非常に大きな手術侵襲を受ける患者さんが多くいらっしゃいますので、どうしても病棟での周術期管理が仕事のメインになりがちになります。しかし、そのことを不満に思われる方の気持ちも分かりますが、個人的には、ベッドサイドで考えを巡らせる時間は、いずれ自分が執刀医になった時の術野を見る「力」につながるはずだと思い、頑張る価値はあると考えています。何より、「外科医は全身を診れる」という言葉は(時に外科医の尊大さの象徴として槍玉に挙がりますが)、諸先輩方が、手術室ではなくベッドサイドに張り付いてきた経験から生まれてきたもののはずと思っております。

市中病院と比較すれば少なくはなりますが、執刀する機会も必ず回ってきますし、大学病院でも虫垂炎や胆嚢炎、ヘルニアの患者さんを診療する機会はあります。真夜中の“コソ練とコソ勉”の成果を披露できれば、先輩方は否応なしに次のステップを準備してくださいます。

 

医学生や初期研修医の先生方へ。外科志望、あるいは外科に「興味はある。けれど…」、はたまた「外科志望じゃないけど、内科も別に…」とお考えの後輩の皆様へ。ぜひ人生に一度、初期研修で消化器外科を回りませんか。将来性、QOL、出産と育児。進路に先立って悩みは尽きませんが、それらを一旦置いて鉗子を握ってみてほしいです。患者さんの目に映る「外科医」としての自分を想像してみてください。きっとしっくりくるものがあるはずです。心よりお待ちしております。

由比 元顕

仕事上がりの日課のトレーニング。筋肉は患者さんを安心させます…

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